不妊治療について

不妊治療の流れ

医療機関を受診し、検査で不妊原因が見つかった場合は、治療を行いながら、同時に妊娠の可能性を高める治療も行っていきます。年齢やカラダの状態、ライフスタイルなど自分に合った治療方法を見つけることが大切です。

「原因の治療」と「妊娠の可能性を高める治療」の二本立て

不妊治療の考え方は、「妊娠しにくい原因を治療する」、そして「妊娠の可能性を高める」ことの二本立てといえます。

例えば、原因として排卵しにくい状態であれば、排卵誘発剤を使って排卵を促す治療をします。

一方、妊娠の確率を高める治療では、排卵誘発剤を使って数多く排卵をさせる方法があります。

点滴をする女性

また、排卵日を予測するタイミング法や人工授精は、精子と卵子を出会いやすくして妊娠の可能性を高める治療です。

不妊の原因は1つではないこと、男女ともに原因がある場合もあること、また検査ではわからない不妊原因が隠れているケースなどもあり、二本柱の治療が妊娠への近道といえます。

一般的な治療の流れとしては、まずはタイミング法を行います。数周期行っても妊娠しない場合は、精子と卵子をより近づける治療として「人工授精」を行います。

それでも妊娠しなければ、卵子と精子を体外受精で出会わせてから子宮に戻す「体外受精・顕微授精」を視野に入れていきます。

このように徐々に治療の段階を進めることを「ステップアップ治療」といいます。どの治療を、どれくらいの期間行うかは、不妊の原因や女性の年齢、そして夫婦の希望により異なります。

医師はそれらを考慮して治療を提案するので、夫婦でよく話し合って決めましょう。

タイミング法

人工授精(AIH)

子宮の入り口である子宮頸管を通らずに、より卵子に近い場所(子宮)に元気な精子を送り込む方法です。

精子が子宮頸管を通りにくい、精子の量が少ない、勃起や射精に問題がある場合の治療法として、またタイミング法の次のステップとして、広く行われています。

精子をマスターベーションで採取して病院で処理してから、子宮に注入して妊娠を待ちます。「人工」の言葉に戸惑うかもしれませんが、受精や着床は自然妊娠となんらかわりません。

妊娠率は施設により異なりますが、5〜10%程度といわれています。人工授精では、排卵誘発剤を使うことが多く、排卵を促すhCG注射も用いられます。

人工授精で妊娠した人は5〜6回までの治療で授かることが多く(累積妊娠率)、治療を繰り返す目安は6周期程度とされています。

高度な治療(体外受精・顕微授精)

精子と卵子が出会えていない、出会いにくいと考えられる場合に確実に出会わせる治療方法。

ART(生殖補助医療)

体外受精や顕微授精などの高度な不妊治療のことをART(生殖補助技術)といいます。精子と卵子が出会えていない、もしくは、出会いにくいと考えられる場合に、確実に精子と卵子を出会わせる治療方法です。

現在、日本で生まれる赤ちゃんの40人に1人は、ARTで誕生していて、もはや特殊な治療ではなくなりました。とはいえ、女性の体への負担が大きく、治療費は高額です。

体外受精(IVF-ET)

女性の卵巣から卵子を取り出し(採卵)、体外で精子と受精させた後、受精卵(胚)を子宮に戻す(ET)方法。受精・培養した胚だけを戻すため、自然妊娠や人工授精よりも妊娠する確率は高くなります。

産科婦人科学会の報告では、移植あたりの妊娠率は26.4%、採卵あたりの妊娠率は14.4%です(2007年度)。

妊娠の確率を高めるために、1度に複数の卵子を採卵できるように、一般的には排卵誘発剤を使って複数の卵子を育てます。

女医

その方法にはいくつかの種類があり、女性の年齢や卵巣の状態、治療経過などにより、最も適した方法が選択されます。

多胎妊娠を防ぐため、移植する胚は原則1個と定められています。移植せず残った胚があれば、凍結保存して、次の治療に備えることができます。

卵管閉塞、男性不妊、重度の子宮内膜症、抗精子抗体がある場合のほか、女性が35歳以上、治療を繰り返しても妊娠しない人にも行われる治療です。

顕微授精(ICSI)

卵子の中に1匹の精子を直接注入して受精させる方法。精子の数が極端に少ないといった男性不妊に有効な治療法です。

男性パートナーの精液中に精子が見られない無精子症には、TESE(精巣内精子採取術)によって精巣内から精子を採取し、顕微授精を行います。

夫婦の状況に応じて、補助や追加の治療が提案されます。さまざまなバリエーション、組み合わせがあるので、説明をよく聞いて選択しましょう。

カルテ
  • 凍結胚移植 受精卵を凍結して、別な周期に戻す方法。4分割、8分割、胚盤胞など、どの段階まで培養して凍結するかは、医師の考えにより異なります。また、移植する周期には、薬によって理想的な子宮内膜にととのえるホルモン補充周期(HR周期)を行うことが多いようです。
  • 胚盤胞移植 受精卵を胚盤胞という状態まで培養(受精から約5日)してから、子宮に戻す方法。 以前は4分割(2日目)や8分割(3日目)の受精卵を戻していましたが、体外での長期培養が可能になり、着床直前に近い状態まで育ててから子宮に戻すようになりました。
  • アシステッドハッチング(AHA) 胚が孵化(ハッチング)しやすいように、胚の表面の透明帯に穴を開けたり、スリットを入れたりする方法。子宮に戻した胚(受精卵)が着床しやすくなるという考え方があり、広く行われています。
  • その他 漢方薬を用いたり、アメリカで老化予防のサプリメントとして知られるDHEAをはじめ、サプリメントを治療に取り入れるクリニックもあります。また、体の血流をよくする遠赤外線の温熱治療器なども活用されています。

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